2016年3月2日水曜日

永すぎた春


ふたりは親子でしょうか。
もしくは全く知らない他人でしょうか。

駅のホームから桜を眺めています。 

ふたりの身を包むシックな色のコートやスーツ、
そしてふたりの背中からも
新しい季節の始まりを感じさせます。



住み慣れた場所から少しずつ物を運び込んだ時の
そこにある物の佇む姿、空間から
そこに残された気持ちに気づくことがあるかもしれません。


レースの模様を描くとき
妙に途方に暮れてしまう感覚がありましたが、
その絵に背を向け、数歩進み、またその絵と向き合うと、
確かにそこには在る、ということが感じられました。


いろんなことがあったかもしれないけど
歩んできた道のりが一瞬でよみがえり、
それを感じきった時、
永すぎた春に終わりを告げる。

また新たな季節の始まりです。

背景を描かない作品から、
背景を描くようになってもなお、
表現しようとしていることは通じていると実感した作品でもありました。


永すぎた春 no.1 / 2004 / oil on cotton / 162.0×130.3cm
永すぎた春 no.2 / 2004 / oil on cotton / 126.0×150.0cm 
見過ごすための人を思う / 2003 / oil on cotton / 106.0×92.0cm  
HPはこちら
http://www.emiimazeki.info/